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中国 経済世界第二位に疑問―中国は本当に豊かになったのか

2010年08月08日

【新唐人2010年8月9日付ニュース】7月30日、中国当局は「中国は日本を超え、アメリカに次ぐ世界第2の経済大国になった」と発表。しかし、専門家からはこれを疑問視する声が出ました。特に、中央政府が発表するGDPと地方政府が発表するGDPのギャップは大きく、水増しの疑いを指摘されています。

2009年の中国の国内総生産―GDPは約460兆円。一方、日本は約476兆円。中国は猛スピードで接近しています。
 
また国連のアジア太平洋経済委員会と国際通貨基金(IMF)は、今年の中国の成長率を9.5%以上で、世界第二の経済大国になると予測。イギリスのある研究所も、「中国は購買力において、日本を超え世界第2の経済大国になった」と指摘しました。
 
しかし一方で、中国・国家外国為替管理局の易局長は、7月30日、雑誌『中国改革』に、「30数年の高度成長で中国人は貧困から脱却したが、中国はまだ発展途上国である」と述べました。
 
北京理工大学の胡(こ)教授もラジオ・フリー・アジアに対し
 
北京理工大学 胡星斗・教授 RFAより
「中国はGDPが高くても、一人当たりの平均所得は依然低い、しかも中国の労働者と農民の所得は世界平均にはるか及びません。つまり中国は今国民ではなく、国家が金持ちになっているのです」
 
中国政府の今年の財政収入は8兆元と見込まれており、世界第2位。しかし一人当たりの平均GDPはわずか約3,800ドル、およそ32万円です。そのうえ、中国の最低年間所得は世界183の国や地域のうち第158位となっています。
 
中国社会科学院の易憲容研究員はボイス・オブ・アメリカに、「中国は高度成長の反面、貧困率が非常に高く、北京など大都市の8割以上は低所得者だ」と明かします。また、近年の経済成長は不動産によるものなので、人々の豊かさを示してはいないと指摘します。易さんによると現在の問題は、不動産市場を経済成長の道具としている点です。GDPを官僚の実績と結びつけているのが、根本的な問題だといいます。
 
7月31日現在、地方政府が公表した上半期のGDP総額は約18兆元で、国家統計局の発表をはるかに超えます。それに、未公開の上海と貴州省を入れると、発表された数字よりも1兆5300億元も多いのです。
 
中国人民大学・経済学院の劉副院長によれば、経済だけを重要視する体制が、地方の水増しの横行を招いていると指摘します。
 
アメリカ・サウスカロライナ大学の謝教授は我々の取材に対し
 
米・サウスカロライナ大学 謝田・教授
「中国政府の成長率のノルマは政治的なものです。地方も同じで社会全体が
これに慣れてしまい、嘘をついても罰を受けません」
 
中国の有名な経済学者・劉さんによると、地方政府のGDPのノルマ達成に最も役立つのが、投資を増やすこと。これは結局、政府の考え方と関係します。また「GDPに占める国民の消費の割合は右肩下がり。多くの産業はすでに過剰生産でも、成長率アップのため、大量に資金を投じる。結果、効率は下がるばかり。このような発展は続かない」と指摘します。
 
国際エネルギー機関の最新の数字によると、中国はアメリカを抜き、世界一のエネルギー消費国となりました。しかし、中国はこれを認めません。ただし、中国経済は質と効率に問題があるので、経済の構造と発展方式の転換が必要だと認めました。成長率が徐々に下がるのは必至で、中国の資源と環境はもう限界に来ているといいます。
 
温家宝首相は今年7月、金融危機の深刻さは予想以上で、中国の金融政策も兼ね合いを取りづらいと表明。中国経済には6つのジレンマがあるといわれます。つまり、「成長維持と構造改革」、「インフレ安定と物価上昇の圧力」、「不動産価格のコントロールと経済の維持」、「賃上げと製造業の不振」、「人民元切り上げと輸出不安定」。
 
世界第2位の経済大国になったと胸を張る中国ですが、前途には数々の試練が待ち受けます。その言葉が本当なのか、世界は固唾をのんで見守ります。
 
新唐人記者がお送りしました。
 

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